窖改

好きを語り倒す

陳情令スピンオフ「乱魄」感想

聶兄弟のスピンオフです。

ドラマ本編の裏で起きていた、聶氏の祭刀堂にまつわる秘密のお話。
本編を補足する内容になっています。現在編の懐桑が、過去編の彼からは想像つかないような行動を取った理由。
では、がっつりネタバレしますのでご注意。




祭刀堂で盗掘する泥棒兄弟。
弟を「アー(2)」って呼ぶのね。へー。
本編でも思ってましたが、わたくし日本人なので「刀」というと日本刀が思い浮かぶのですが、ここでは青龍刀や小型の斬馬刀のような片刃の形状のものをひっくるめて刀と呼んでいる様子。
フラッとどっか行った弟を探す兄ちゃん、あんたそのバラバラになった手足、明らかにたった今出来た死体(弟)の一部だって気づかないの!?
ビックリだ。これだけ古そうな墓地に、そんな生々しい色した新鮮な手足が転がってるわけないじゃん…金に目が眩むって恐ろしい。
祭刀堂が盗掘されたのは何代も前の宗主のとき一度きりと記憶してるので、その時の回想シーンかと思ってた。ら、違った。
え、じゃああんな仙術のせの字も知らんような盗人たちが、行路嶺の噂も、忘羨レベルの仙師じゃないと解けない迷陣も越えて墓に辿り着いたの?
それは明玦、焦るわ。

懐桑が過去編の彼らしくてホッとする(笑)
孟瑶が斂芳尊(光瑶)になってるということは、射日の征戦が終わって金氏に入った後か。温氏という巨悪がいなくなった代わりに、そこに向いてた悪意が一斉に羨に的変えした頃かな。

祭刀堂に行く行かないで揉める兄弟。
この頃にはもう、刀霊の呪いで明玦の凶暴化(失心症)が頻繁に起きていた様子。
あ、なるほど、何で金氏の光瑶が当たり前みたいに居るんだと思ってたら、明玦に清心音(乱魄抄)聞かせるために通ってた頃か。
懐桑が大事にしている品を明玦が壊す、というのはドラマでは省かれた原作ネタです。筆一本折られたくらいで済んで良かったじゃないか、原作では壺から扇子から全部盛大に燃やされてたぞ。
そしてまぁ光瑶も相変わらずで、清心音で治療してるとかよく言うわ。真相を知ってて見てると光瑶の挙動に裏があるのがよく分かる。こうやって手の上で転がしてたのね。
って、待って、懐桑も清心音できるの?
出立のBGMがドラマのオープニング曲で、なんかえらい壮大なんだが(笑)

千人塚。
人工林のような場所で、纏人藤(てんじんとう←人を喰う藤蔓のような怪異)に襲われる御一行様。
割と自由な二若君に刀を一振り取られても、黙って受け入れる部下の宗輝(ゾンホイ←二刀流)が優しい。結構危険な状況なんだけど、あ…まぁいっか、みたいな。一瞬の間に、ちっちゃい頃から懐桑の相手してたのかもしれないなと思わせる年上の包容力が見えた。
短笛で清心音を吹く懐桑。
いやそれ乱魄抄ですわ!悪化する!
うわ、何も知らない懐桑に光瑶が教えたのね。なんと酷いことを…。

祭刀堂に入りました。
ドラマとは造りも規模もだいぶ違うくなってます。祭刀堂ってもしかして複数あるんだろうか。ドラマのが副墓のひとつで、こっちが主墓とか。
陣が壊されて中央の扉が開かないので両脇の部屋の陣をそれぞれ修復することに。
え、なんか急にダンジョン攻略みたいな雰囲気になってきたぞ。何それ、そんな大それた仕掛けがあるなんて聞いてない(ソワ)
明玦は白虎の間、懐桑は青龍の間へ。
明玦班。
えっと…?
陣を組んで、外にいた纏人藤みたいな魔物を退けた、みたいな感じ?
運動会の組体操みた…ゲフンっ(黙れ)
床に大穴開いちゃって、どこをどう修復したのか分からないんだけど、いいの?
そして壁に部下が埋まっていってしまったのは現実なのか、明玦の幻覚か。どっち。…後者っぽいな。
懐桑班。
天文学にまで明るかったのね。懐桑がうっかりかっこよく見えた。
活躍する彼を見る宗輝のお顔が誇らしげですよ。見守ってきた感が滲み出てる。良い関係なのがよく分かります。臣下にこういう人がいるの、いいな。壁の中に死体があるのも知ってる辺り、明玦からの信頼もかなり厚い様子。
原作から補足すると、壁に埋めてる死体は生贄ではないです。恨みを持って死んだりなんだりして、じきに彷屍や凶屍になりそうな怨念持ちの死体を厳選して埋めてます。壁に埋めるために殺したりはしてない。主人を亡くした刀霊は怨念を狩りたがって暴れるので、それなら好きなだけ狩れるように側に死体を置いて鎮めようという、一種の邪術。正当な仙門が邪術使ってるのバレたらまずいので、何重にも防衛線張って隠蔽してるのです。
と、いう事実を懐桑はまだ知らなかったのね。
筆のために部下一人犠牲になっちゃってお前…。

主墓室の入り口で揉める兄弟。
明玦は愚直で、懐桑は正論だけど青臭いという。
でも確かに、刀霊の呪いで狂死すると分かっていながらなんで刀を修するのか、って思うよね。聶氏とはそういうものだというところで思考停止してるのか、呪われてでも刀を使うことに矜持があるのか。
頭ガッチガチの明玦と、柔軟な懐桑。
対照的な兄弟ですが、明玦の幻覚が悪化してることに、知らずに一枚噛まされてるんだよ懐桑。幻覚のせいで部下を殺してしまってる明玦がもう…業が深すぎて辛い。不浄世でほくそ笑んでいる光瑶の顔が浮かぶわ。

吊り橋を渡ります。
待って待って、これ何だっけ陳情令よね、インディージョーンズみたいになってるんだが(笑)
ていうかどんだけ広いの祭刀堂!ビックリしたわ、人口の地下墓地レベルの規模ではないぞ、洞窟?
懐桑が急に逞しいんだが、渡る時点で予想してた。吊り橋あるある。明らかに年季入ってんだからせめて一人ずつ渡ろうよ、そんなゾロゾロ。一応下ーーーの方に底が見えてるとは言え、落ちたら死…いや、懐桑以外は御剣でき…あれ刀って御剣できるのか?(落ち着け)

岩壁をゴリゴリ切り裂く覇下(バーシア)は切れ味良すぎると思う。どんだけ頑丈(笑)
多分ここ真面目なシーンなんだ。ケンカしてても命懸けで弟を助けようとする兄の見せ場なんだ、分かってるんだけど!
まさかあの覇下に笑いを誘われる日が来るとは。いや覇下そのものはかっこいいのよ、無骨で男前な刀なんだけども!

回想のチビ兄弟。
か わ い い !!
ちょ、これは反則じゃないかしら!?(によ)
原作でもドラマでも刀霊に侵され始めてる厳しい明玦からしか知らないから、元々気性が荒いと思ってたけど、そうではなかったのだね。弟思いで優しいお兄ちゃんだったんだ。
まだタッグァ(兄上)じゃなくてグァグァ(お兄ちゃん)呼びしてるチビ懐桑が可愛すぎてどうしよう。これは面倒見なきゃと思うわ。

バンジージャンプな懐桑。
思い切りいいな!
風流で雅なこととイタズラ以外は大概及び腰でビビリな本編の懐桑は、実は骨太な本性を隠すポーズだったんかいと思うくらいの吹っ切れっぷり。
ロープ一本であの豪快な降り方するとこ見るとおそらく、吊り橋の渡口で谷の底がうっすら白く見えてたのと一度途中まで落ちた感覚で、底までの距離を大体計算したんだと思われ。下に何があるか分かんないけど、目視できる距離に底があるのだけは間違いないので兄貴探しに行きます判断。
まぁ部下からしたらたまったものではないですよね。聶氏の天辺が二人とも飛び降りるとか、うっかりすると聶氏の直系が絶えますよ。苦労するなぁ宗輝(肩ポン)

無限ループ、というか必ず同じとこに出る迷路的な何か。
この声は祭刀堂に仕掛けられた罠のひとつなのか、懐桑の精神状態から来る心の声なのか。
やっぱりビビリだった懐桑がちょっとホッとした。

どういうわけか鎖仙閣で兄上と合流。
謎。…うん、まぁ、いっか!
どっちが兄貴か分からんようになっておりますよ、どうした懐桑、かっこいいな。さっき情けない悲鳴上げてたのとのギャップが。
明玦は大木で、懐桑は柳だなと思いました。
根っこ張ってどっしり構えて多少のことではびくともしない硬くて真っ直ぐな大木より、細くしなやかで如何様にも曲がるが故に折れない柳の方が強いこともあるのね。

謎解き開始。
懐桑が頭脳派で良かったなー兄。
やっぱり香るインディージョーンズ臭。陳情令とは毛色が違うけど、ダンジョン攻略系も好きなので、これはこれでヨシ。
本来呪いで狂った宗主を閉じ込めるための場所だから、ひとりで嵌ったら出られない仕組みになってるのね。歴代宗主がここで狂死していったと思うと、怨念が凄そう。谷の底で懐桑が聞いた怨嗟らしき声は、そういうのが作用してたのかな。

いい部下持ったなぁ明玦。
これだけ忠誠を向けてもらえる明玦自身が、如何に部下思いの良い宗主だったかというのが分かる、うっかり泣きそうになるシーンです。
でも言うことは懐桑の方がかっこいいのだ。あれ。

最後の部屋。
私、明玦好きなのよ。好きなんだけど、スピンオフは宗輝がカッコ良すぎる。主役を上回ってはいかんよ!
この度は明玦がグラグラしてるから仕方ないとしても、宗輝、お顔も心意気も行動も全般かっこいいんじゃよ。惚れる。
懐桑は実質非戦闘員なので、刀霊と戦うのは明玦と宗輝。
これもし懐桑とふたりだけでこの部屋来てたら、どうにもならなかったんじゃないの。宗輝の存在感が半端ないです。霊力も明玦に匹敵しそう。祭刀堂の秘密も懐桑より知ってたし、宗主の側近として全力でサポートできるように日々研鑽してたんだろうなぁと思うと、宗輝男前。いいキャラだわー。

刀霊に憑かれちゃった宗輝vs.明玦。
えええー(笑)。いや笑いどころではない、んだけども。
「生魂」でも思ったけど、悪い顔してるとみんな薛洋に見える(…)
いや、そうではなく、その赤いのと青いのは何。霊力が具現化して闘神みたいに見えてる、の、かな?
や、ちょ、そこで!?
懐桑、だからそれ乱魄しょ…!知らないんだよね、これが清心音だと思ってるんだよね、あー…。
つらい…明玦つらい…(泣)

後日、呪いの悪化で明玦死亡。
この頃だと、本編で羨が死んだ後になります。
悲嘆に暮れる懐桑、ですが。
本当の清心音と、自分が奏でた清心音が違うと気づいたんだね。知らぬ間に光瑶の策略に嵌って、明玦を死に至らしめる片棒を担がされていた。あのとき祭刀堂に行った部下たち20名のほとんどと腹心の宗輝を、明玦が殺してしまった原因は自分が奏でた清心音(乱魄抄)だった。
何食わぬ顔で慰めの言葉を口にする光瑶に、一瞬で人が変わるほどの憎悪と殺意が湧いたんでしょう。原作やドラマ見ただけでは、たとえ兄弟の絆が深かったと言葉として認識はしてても、絵面で険悪なとこだけ見せられてたから、現在編の黒幕が懐桑だと分かったときに、唐突すぎて違和感があったんだ。でも「乱魄」見て理解した。これは懐桑、絶対許さないわ。何としてでも光瑶に復讐するわ。納得。


ツッコミどころはたくさんあるけど、特撮シーン以外は良いシナリオだったと思います。
これだけの惨劇があっても様式が変わってないということは、他に刀霊を抑える術がないのだね。今はまだ。
でも懐桑ならいずれ解決策を見出しそうな気がします。但し手段を選ばないのが怖いところ。その際は頼むから忘羨を巻き込まないでおくれー(願)