窖改

好きを語り倒す

陳情令感想 43話 重なり合う心

陳情令第43話感想です。
原作との比較と、がっつりネタバレしますのでご注意。



雲深不知処、禁書室。
疑わしいところを自ら潰していく羨の推理に、付け入る隙がない兄上。容赦ない。
でもこれ、羨としては㬢臣に激怒される覚悟の上であろうし、光瑶の呪縛から㬢臣を切り離そうとしてるんだと思うんだ。㬢臣だから努めて平静を保ってるけど、心の中は麻酔なしで切り刻まれてるのと一緒じゃないのか。こんな思いを㬢臣にさせよって光瑶、許さん。
㬢臣が光瑶の人となりを語ってるときに羨が不遜な顔と仕草してたのは、語られる聖人君子のような光瑶が白々しいからであって、㬢臣本人に対しての態度ではないと思ってる。いくら㬢臣が見てないからって、「これだけ言ってもまだ光瑶を信じるのか」って呆れた態度だとは解釈したくない。羨は忘機に負けず劣らず沢蕪君を尊敬してると思うし。

影竹堂の㬢臣と羨。
えー、あー……うん?(考)
原作終盤の一大イベント(羨の欠けた記憶関連)をドラマ用に作り直して、元々の原作ネタの忘機兄弟の両親の話の前に差し込んだのね。

ドラマ版、戒鞭の理由。
えっと、時間軸がよく分からないんだが(悩)
「温情が一族を連れて金鱗台に謝罪に来た後」の回想となってるけども、そうすると最初の回想は温情に眠らされた羨が起きて伏魔洞を出てから、不夜天の決起大会に現れるまでの間に起きたこと?
忘機の右腕にちょっとだけ血が付いてるのは、ただ通せんぼしただけでなく蘇渉たちと戦ったんでしょうか。え、忘機にケガ負わせられるほどの実力者、蘇氏にいる?
光瑶の言葉どおりなら、双方一旦ここで伏魔洞には何もせず立ち退いたのかな。
次の回想では伏魔洞周辺が火の海で忘機が満身創痍だから、たぶん不夜天で羨が自害した直後と思われ。伏魔洞を焼き払おうとした光瑶たちに逆らった様子。先の回想と危機感が違う。あ、金氏が随便その他の羨グッズを手に入れたの、ここでか。
蛇足ですがこの構図、原作の藍氏粛清時の忘機と被る。伏魔洞を蔵書閣に置き換えるとまさにこうなる。温氏に蔵書閣を焼けと命令されて、抵抗した忘機が足を折られるの。意図した構図なのかしらスタッフ。
で、忘機が夷陵老祖に傾倒しすぎるのを重罪として、懲罰のために啓仁先生が戒鞭を使い、3年間は傷の回復と謹慎期間だったと。

原作版、戒鞭の理由。
羨の欠けた記憶がこれにあたります。血の不夜天で生き延びた羨は乱葬崗に帰るのですが、どうやって帰ったのかの記憶がない。ここに忘機が絡んでくる。
忘機もまた満身創痍でありながら、不夜天を去ろうとする羨(前後不覚でほとんど意識がない)を助けて共に逃走します。途中、羨を休ませているところに追っ手が掛かり、これが藍氏で忘機を高く評価し擁護してくれてる先輩たち33人だった。羨を守るために彼らと戦い退けて、羨を乱葬崗へ送り届けたあと雲深不知処に帰った忘機は、懲罰としてひとりにつき一打の戒鞭(計33回)を自ら受けます。
たった一打でも皮膚を裂き一生消えない痕が残る極刑のひとつである戒鞭を、一度に33回受けることがどれだけ厳しい罰か。原作忘機が第一次乱葬崗殲滅戦に立ち会えず(そもそも知らされてなかった可能性あり)羨の死に目にも会えなかったのは、傷が癒えてまともに動けるようになるまで3年かかったからです。
付け加えると、逃走中の忘羨を見つけた藍氏の皆様は、自失状態の羨(「失せろ」しか言わない)に寄り添って話しかけ続ける忘機を見てます。それで忘機の気持ちを知るのね。後々の様子を見る限りだと、夷陵老祖は好ましくないけども、忘機の恋心自体は反対せず受け入れてる藍氏の人たち(啓仁以外)って不思議だなぁと思う。それだけ忘機本人のことは認めてたり尊敬してたり慕ってたりしてるんでしょうね。
もうひとつついでに、ドラマ忘機にもある左鎖骨下の焼印の後も、同じ時期に忘機が自ら付けたものです。羨を亡くした喪失感から、彼と同じ傷痕を自分にも残したかったんでしょう。羨が好きだった天子笑を飲んで、酔って騒いで朝起きたら新しい傷が増えてたという。忘機…。

戒鞭って、言葉のとおり鞭だと思ってたけど棒状のものなんですね。33回でも死にかけるくらいの懲罰を300回ってドラマ…。

影竹堂とは、忘機たちの母親が住んでたところ。
母親が父親の恩師を殺した理由は原作でも分かりません。重要なのは、幼い兄弟がちゃんと母親に愛されていたと言うこと。
今の忘機をそのままちっちゃくしたような子供忘機は、可愛いと言うよりしっかりした子な印象。美しさはお母さん似か。
忘機は執着するタイプ。羨に執着してるのは、子供の頃母親に執着してたのと同じ。
ドラマ、上手いことBL回避してくるなぁ。いや確かにね、過去編で忘機が羨を雲深不知処に連れて帰って隠したいって言ったのは、父親の行動まんまだなと思ったよ。でもそれは、よく問題を起こす好きな人に対する対応が同じということで。
それを㬢臣兄様に、忘機の執着は恋ではないよと釘を刺されたなと。読破組には痛いです兄上ー(よよよ)
過去の忘機と今の自分が同じ立場と、よく理解している㬢臣兄様。光瑶が羨みたいな心の人だったらどんなに良かったか。

天子笑持参の忘機。
ぶはっ!ごめんなさい先に原作ネタ言わせて!
この天子笑は忘機が自室の床下に貯蔵(?)してたものの内の二瓶です。大梵山で忘機にお持ち帰りされた羨が雲深不知処を逃げ出そうとワイワイやってる際、これを見つけてこっそり飲み、水を入れて戻しておいたの。
忘機が影竹堂に持ってきた二瓶のうち、一瓶がそれで、知らずに飲んだ羨が吹き出すというコメディネタ。忘機に仕掛けたイタズラが自分に返って来ちゃったという話。

ではドラマではどうなってるか。
見事にシリアス系ブロマンスに仕上がってますな。天子笑が水じゃない(笑)

窮奇道と不夜天で。
ドラマ→羨以外の笛の音(第三者の存在有り)
原作→どちらも羨の術の暴走。誰の意図もない。

ドラマ羨と原作羨では責任の在処が全く違うので、惨事を引き起こしたのは第三者であって自分ではなかったドラマ羨は達観できても、原作羨には無理だろうと思う。
濡れ衣を着せられただけのドラマ羨は気持ち的にも身軽であり、尚且つ傍に忘機が居てくれるからこそ行き着けた境地で、ブロマンスとしては美しいシーンで嫌いではないんですけども、術の暴走という己の責任を自覚して全部背負って、それでも前を向ける強さを持つ原作羨を知ってる読破組としては、多少複雑なのです。
複雑だけどどっちの羨も好きですから!
でもここの吹替え「どうでもいい、好きにしてくれ」の台詞は、中国語の「随便(スイビェン)!」だからこそ生きると思う。確かに訳したらそういう意味だけど、羨の剣の名前と掛けているというのが分かることが大事。字幕で是非。
羨がいい話してるのに忘機が途中からこっそり琴のとこに行ってたのも、実はちょっと微妙だったり。最後まで聞いてから行けよ!と思ってしまった(苦笑)
忘機に聞こえないように言った「ごめんな、ありがとう」は、戒鞭の痕に対してでいいでしょうか。ごめんなで終わらなくて良かった、ありがとうが付いてて良かった!

翌日?
隠れてるのにうとうとしてる羨が。ドラマでもたまにシリアスになり切れないのはいいと思う。動じない忘機(笑)
光瑶、来訪。
通行玉令が失効した時点で、光瑶は㬢臣も味方ではない判断したと思われ。それでただ返却するだけなら、㬢臣の考えは正しいと認めたようなもんじゃないの。
「二度目の乱葬崗討伐」という言い方してるのは、㬢臣の回想にあった、忘機の戒鞭の理由になったあの、伏魔洞が火の海になってたのを一度目としてか。
㬢臣がどれだけ辛い思いしてるか、忘機にはよく分かるんだろうなぁ。忘機のが辛そう。

㬢臣は金鱗台、忘羨は乱葬崗へ。
うさぎ、ちょっとでかくなったか?と思ったら、抱き上げた子は子うさぎサイズになってた。相変わらず可愛い(によー)
羨に構われてる仰向け抱っこうさぎ可愛いー!!
手触り良さそう。いいなーもふもふしたい。癒し。
小動物が軒並み羨から逃げるのは扱いが雑だからだと忘機は思ったようですが、小動物からしたら羨が自分をお肉認識してると分かるからじゃないかと思ってる。捕食者と非捕食者。そりゃ逃げるわー。

旅路。
哀愁漂う曲なのに、吹いてる羨が楽しそう。聞いてる忘機も穏やかな顔してる。2人にとっては思い出の曲だからね。
残念なことに吹替では曲名が聞こえてるんだよ、なのに忘れてると思われてるんだよ、立つ瀬がないわ。忘機に覚えが悪い言われても言い返せないわ。
て言うか、忘機が作った曲だって言われたのに割とスルーだったな!?ええ、そこ大事なとこなのに!
あの曲は忘機が作って、玄武洞で羨に聞かせたっきり誰にも聞かせていません。羨と忘機しか知らないの。だから現在編で再会したとき本人確認になったのね。
ドラマEDをよく見ている方はお気付きでしょうが、あの曲の原作及び日本語名が「忘羨(ワンシエン)」です。気付いた瞬間に奇声を上げた読破組は少なくないはず(笑)

民家に立ち寄る忘羨。
綿綿ちになってる!(笑)
えっと、原作の流れでも民家に立ち寄りますが、綿綿ちではないです。ここに住むご家族の会話を、隠れてこっそり聞くだけ。
綿綿ちは別口で原作の最終盤に出て来ますが、それとここを入れ替えたのね。綿綿家族とのやり取りは本編内ではあるものの、全てに方が付いて、忘機と2人で平和に旅をしている途中の出来事でした。


懐かしの綿綿、で次回持ち越し。
過去編で数少ない味方だったからもあるけど、綿綿の屈託ない笑顔がホッとする。