窖改

好きを語り倒す

陳情令感想 38話 束の間の安息

陳情令第38話感想です。
原作との比較と、がっつりネタバレしますのでご注意。



義荘。
共情についてドラマでは詳細がないのでちょっと補足。共情とは怨霊を体に入れて五感や感情、記憶を共有することで情報を得る、羨の十八番です。ただし金凌の言う通り危険な術で、失敗すると奪舎される(怨霊に体を奪われる)ため、共情するときは監督者が必要。金凌が任された監督とは、何か問題が生じたときに術者を引き戻す命綱役で、先に合図や音を決めておきます。
自分の命を預けるのと同じ意味の監督者に迷わず指名されたのに、何で私がーとか、意味分かってないだろおぼっちゃま!側から見たら思追のがよっぽど安心して任せられるわ!
でも大事な銀鈴を素直に出す辺りは、やっぱり悪い子ではないんだよなぁ。金凌はこう言うパターン多い。

阿箐と共情開始。
原作共情は体に入れた霊の視界を共有する(阿箐の記憶を阿箐視点で見る)ので、情景に阿箐本人は映りませんが、ドラマ共情は第三者視点で俯瞰して見るみたいな感じになってるのね。

10年前。
ドラマでは羨が死んでから6年後の世界。
死んでて世情を何も知らない羨にとっては、この6年で何があったの!?だよなー。ドラマは座学時代に義城組と会ってるから余計。
あれ、義城と刻まれた石がある位置が反対…なんだけ、ど。気にしたら負け?
手負いの薛洋を、そうとは知らずに拾います。
んーと。薛洋のケガは光瑶の追手にやられたものです。光善が死んだ後、薛洋を匿ったことで評判が下がった金氏の悪評を払拭するために、後を継いだ光瑶が薛洋を金氏から追放して追手をかけたの。トドメは刺せなかったけど致命傷は負わせたから助からないだろうと判断した光瑶は、薛洋を始末したと公言。世間的には薛洋は死んだことになってます。が。
ドラマは追放しただけになってたね、そう言えば。だからケガに関しての詳細が明かされないままだったのか。
原作で考えたとしても現在編の様子を見るに、光瑶、本気で薛洋を殺す気あったのか怪しいなぁ。生きてようが死んでようが、光瑶が気にするのは薛洋じゃなく陰虎符だけども。
ちなみに星塵が声で薛洋と気付かないのは、追手に襲われた際に喉をやられて声質が変わってたからです。星塵の気遣いが優しくて悶える。これが薛洋じゃなかったら心臓パスンだわ。

駆け引き。
本当に目が見えないのか試す薛洋と、命懸けで見えない演技をやり通す阿箐。
ドラマでは第三者視点だから他人事として見てるけども、原作は阿箐の中に羨がいるので、平気な顔してる阿箐が内心で感じてる恐怖を羨も共有しています。ドラマでは分かりにくいけども、阿箐の度胸と肝の座りっぷりと頭の回転の良さがあっぱれと言う話。伊達に長年盲目のフリしてスリやってない。

屋根の修理。
星塵が純粋すぎるー(よよよ)
子供の頃に抱山散人に拾われて、俗世に関わらずに育ってるから。下界が荒んでることは分かってるけど、それでも基本性善説推奨なんだよね。絵に描いたような誠実な人。
反対に阿箐は荒波に揉まれて生きてきてるから、ヤバい人を嗅ぎ分ける鼻が星塵よりずっと効く。分け隔てない星塵の優しさがもどかしかろうと思います。分け隔てなきゃいけない人も世の中にはいるんじゃー。
屋根の修理を手伝う薛洋が普通に快活な隣人。
これ全部計画のうちかと思うと空恐ろしい。自分に気づかずに仲良くなって笑ってる星塵が、歪んだ方向に愉しいんだろうなぁ。ていうか屋根に登らせるときに腰、ていうかむしろオケツに手を添えてるんだが。え、サービス?むふった私に非はないよね?(落ち着け)

2人で夜狩。
事実を知ってて見てると本当辛いんだよこれ。完全に薛洋の掌の上に乗っちゃってる星塵が。これだけの悪意に気づかないほど信用してしまってるのが。
ドラマでは阿箐の考えだけでしたが、原作は阿箐視点で羨も見てるので、羨だけは酷い惨事が起きていることに気付きます。阿箐は賢いけど素人だから傀儡の真偽の区別は付かないんだ。
ドラマだと場面構成が入れ替えられてますが、本来はこの後の町を歩くシーンが夜狩の前に来ます。そこで並んで歩く3人のことを見下して悪く言った町人たちを、薛洋が傀儡もどきにして星塵に殺させてたの。ドラマで陰口叩かれてる薛洋がヤバイ顔してたのは、それを匂わせるためと思われ。

義荘の夜。
…え、あれ、これだけ?
ぽかんとしてしまった。お話しはないのか。
本来はここで阿箐にせがまれて、星塵と薛洋がそれぞれに物語と称した己の過去を話してくれます。寝物語に面白い話を聞きたかったのに、どっちの話も面白いとは言い難くひどいオチで、期待外れだった阿箐がキレるという。わりと無茶振りする元気な子。
ドラマは何か、薛洋の表情が意味深ですね。喜怒哀楽で言うなら哀、のような。原作薛洋からは想像つかない顔で戸惑う。何を思ってたの。

町でお買い物。
ジワジワと薛洋の本性を見せていってるシーンは、よい。そこではなくて。
「暁星塵!」
ええ呼ぶのー!?
薛洋は素性を隠してるので、星塵が自己紹介しない限り呼べないはずなのです。よって原作では阿箐も薛洋も星塵のことは「道長」呼びでした。ドラマ星塵、教えちゃったのかー。

3年後(羨の死後9年)。
サラッとすぎて原作もドラマも普通に見てたけど、星塵はともかく阿箐はあれだけ薛洋を警戒しててよく3年保ったな。胃に穴開かなかったのか。慣れってすごい。

宋嵐が義城へ。
初対面の目が見えない(かもしれない)女の子にかける言葉が一緒なんだよ星塵と!さすが親友、思考が近いんだなー(によ)
何かこの宋嵐、阿箐が盲人のフリしてるだけって気づいてる気がする。でも詮索せず合わせてくれてる。優しい。
いい友達かと問われてすぐ答えられなかったのは、星塵とケンカ別れ(とても深刻)してるからです。親友と名乗る資格が自分にあるのか、という方向の逡巡。

宋嵐の涙。
いやもう、どれだけ悔しかろうかと。自分らの人生を狂わせた張本人が、何食わぬ顔で星塵と談笑してるとかあり得ないからね。薛洋に対する怒りとか憎しみとか、久しぶりに目にした星塵に対する懺悔の気持ちとか、一気に来た結果の涙なんだと思います。つらい。

あれ、すっ飛ばした?て思ったら戻った。
適度に羨(主役)を出すためですか、そうですか。
今共情中なのです。この義城はあくまで阿箐の記憶。

宋嵐vs.薛洋。
薛洋の剣は我流なので大して強くないです。宋嵐や星塵、もちろん忘機とも実力は天と地。それでも現在編の羨よりは強いんだよ、くそぅ。
薛洋がほぼほぼ解説してくれてるのでドラマ組の方も大体事情が分かったかと。結局全部、薛洋が星塵に復讐するための企みどおりに進んでますよと言う話。部分だけ切り取って宋嵐が悪い星塵が悪い言ってるけど、元凶お前だからね(青筋)
星塵を苦しめるために薛洋がやったのは、羨に例えると、羨を苦しめるために雲深不知処を忘機だけ残して全滅させるのと同じことです。

復元陰虎符出た。
あー、そう言う感じ?
ドラマでは追放されただけの薛洋が何で死にかけてたかの理由が分かった気がする。光瑶と共同で研究してた復元陰虎符を、追放されたとき薛洋が持ち逃げしたために、光瑶が取り返すためにこっそり追手をかけたけど逃げられた、っぽい。
もともと薛洋が持ってた最後(5つめ)の陰鉄を使ったものだから、薛洋にとっては自分のもの認識だったんでしょうが。

霜華(シャンホワ)お仕事しすぎです。
区別付かないのか…。霊が宿った随便(スイビェン)でさえもだったけど、どんな一品仙剣でも「物」ですから、判別能力はここまでが限界ということなんだろうなぁ。
義城編の星塵は20歳前後ですが、現在編で薛洋が霜華を使えてたことから封剣はしていなかった様子。後世に名を馳せた星塵でさえ10代20代では仙剣に霊は宿らなかったのに、10代で随便に霊が宿ってた羨がどれだけの器だったのかという。
佛雪(フウシュエ)が切ない。悲壮な宋嵐と、いつもと変わらない日常のように振る舞う薛洋と星塵とのギャップが空寒い。
て、え、あれ、共情ここで終わり?
ええーまた随分半端な。

現実に戻ってきました。
温寧のときは満を持してだったろうから刺顱釘の用意もじっくりできたでしょうが、宋嵐のときは予定外だったから突貫で作ったんじゃないの。と思った。

子供たち以外全員集合。
義城に入ってから鬼面男、彷屍の群れ、薛洋、と戦闘続きなのに余裕の忘機が素敵なのです。傷ひとつない。


星塵の霊識を復元したい本当の理由は何だ、で、次回持ち越し。
シリアルキラーの思考は理解できない…。
「束の間の安息」は誰に掛かる言葉なのか。