窖改

好きを語り倒す

陳情令感想 45話 在りし日の面影


陳情令第45話感想です。
原作との比較と、がっつりネタバレしますのでご注意。



伏魔殿。
蘇渉を口で追い詰めていく羨。
ここで真っ先に羨の弁舌に乗ってくるのが、ついさっきまで筆頭になって羨を殺せと扇動してた姚宗主。調子良いにも程がある。
更に蘇渉に追い打ちをかけるために羨が出した2枚の紙は、ドラマでは伏線が省かれちゃった原作ネタです。雲深不知処の禁書室で㬢臣と3人で楽譜を探す際に、原作では羨が奏でた「清心音ではない部分」を忘機が人数分譜面に起こして、それを元に原譜を探します。羨が啓仁先生に見せようと出した紙は、自分と忘機の分の写し。芳菲殿の隠し部屋で見つけた本物と偽った博打は羨の勝ち、という話。
鬼面の男は蘇渉。
蘇渉って自己顕示欲と自尊心が強いだけで実力はなかったはずなんですよ。仙門立ち上げて宗主になったとは言え、四大世家とは比べ物にならない。それが現在編になったら、伝送符は使うは忘機の禁言術は自力で解くは剣もそこそこ出来るはで(どれも相当の霊力がないと不可)、この16年光瑶の役に立つために頑張って修練したんだなぁと、うっかり感心してしまった。だからって印象が良くなったりはしないが。彼は鬼面の格好してた方が似合うと思う。

で、えー。
実質、第一次乱葬崗殲滅戦がなかったために、こっから色々省かれるんだよ、惜しい!好きシーンいっぱいなのに!
ドラマも一応あるにはあるので確認のために書いておくと、

第一次乱葬崗殲滅戦とは、
ドラマ→羨の死後、温氏残党も誰もいない無人の伏魔殿、伏魔洞を焼き払ったことがこれにあたるっぽい。戦になってないのであくまで名目ですわね…(しゅん)
原作→血の不夜天の3ヶ月後、乱葬崗に潜伏してる羨と温氏残党50人を一掃するために、金氏筆頭にした連合軍が仕掛けた戦。この激戦の際に羨が術の暴走で死亡。温氏残党の50人は全員殺され、死体は血の池に沈められた。

ということで、ドラマもこの度の戦闘は「第二次乱葬崗殲滅戦」っぽくなって、ます。

「若君、破られます」からの、「第二波が来たら」。
速いわー!(叫)
て言うかドラマ第一波しか来てないし…原作の台詞そのまま持ってきてるから齟齬が生じておりますんですよ。ドラマ派の人「???」になってない?
なぜに「第二波」かと言いますと、原作では蘇渉逃走後、温寧の「破られます」のタイミングで彷屍の大群が伏魔洞内になだれ込み、全員でどうにか全滅させています。これが第一波。ドラマはここが全カットになってる。

羨の囮作戦。
大好きなんだよここら辺!
自分を殺しに来た人たちを命懸けで守るとかどうかしとるわ!(褒め言葉)
逆に冷静なのか。自分の縄張りで死人が出たら光瑶の思う壺って分かってるから。でももし光瑶の策略ではなかったとしても、羨なら同じ行動取ってただろうな。
このエピソード辺りから強く思うようになったけど、現在編になってから本当に忘機、羨を止めなくなった。その代わり徹底して傍にいる。命懸けで羨がしようとしてることに対して肯定以外あり得ない姿勢が、如何に彼を信じて認めてるか、彼がいない16年間が辛かったかを表してるようでね。原作脳だと愛しか言葉が出てこないのよ。
文章から想像するしかなかったものが映像で見られるっていいなぁ。召陰旗羨とセコム忘機はこんな動きをしていたのね(ガン見)

で。
血の池が全カット…!!(悲)
分かってる、ドラマはここに温氏残党の人たち1人もいないの分かってるけど!
大好きエピソードだったから残念すぎるーるるる(涙)。
ドラマ派の人には、血の池に誘導した傀儡を忘機が上手いこと退治したと思われてるのですよね。違うんだよ、実は。
温寧も加わって血の池に誘導しようとしたけど彷屍の数が多すぎて囲まれてしまって、直前で身動き取れなくなってしまいます。あわやというところで、血の池から血屍(けつし←血まみれの彷屍)になった温氏残党の人たちが現れて助けてくれるの。温寧が戻ってくるのを13年間(原作時間)ずっと待っててくれたのね。きっと羨に恩返しもしたかったんでしょう。敵を全滅させた後、役目を終えた血屍たちは全員灰になって崩れ落ちます。今度こそ、本当の死。ありがとう、ありがとう。あなたたちのことは決して忘れません。
これを全カット!
なんで第一次乱葬崗殲滅戦しなかったー!(最初に戻る)

忘羨+温寧が囮になってるうちに麓まで逃げた仙門の人たち。
自分らが寄ってたかって殺そうとした相手から、1人の犠牲者も出さず安全に逃がしてもらっておきながら、その言い草。姚宗主は本当に調子良い上に自分勝手が過ぎる。腹立つ。
あからさまではないけれど、江澄が羨の身を案じてる素振りを見せてくれたのは嬉しい。討伐軍側にはいるけど、本気で憎みきれない葛藤が続いているのだね。いつもながらギリギリにならないと本音が出ないんだからこの子は、もー。
倒れる羨は目の保養(え)。
ドラマの醍醐味。視覚に訴えるなんてずるい(うふ)。

桟橋で。
姚宗主たち見てるとどっちが下賤か分からない。命を賭けてる1人に対して大多数がこれだから、数の暴力って怖い。
埠頭の弟子っこたちのところにやってくる温寧の髪が何でこんなにぺっしょりしてんの、ヘアメイクさん失敗した?(失礼)って思って。
違った、思い出した。これもおそらく原作ネタです。ドラマでは陸に上がってますけども、原作は船上での出来事でした。色々都合で、温寧は思追たちが乗ってる船の船体にへばりついてたの。川に浸かってた名残りが、ドラマのペしょ髪だと思われ。
温寧と思追。
温寧、気づきましたねー。この2人、等親は離れてるけど血縁です。思追いい子。可愛い。
温寧と金凌。
ここはな…。羨の場合は両親の死に関わっただけだけど、温寧は父親を殺した本人だから。
でも弟子っこ世代からしたら上の世代の話で、金凌以外はあまり実感がないのかな。仇がどうより、思追を突き飛ばした方に比重が行ってる。実感はないくせに金凌を責める口実にはちゃっかり使う、くらいの感覚なのがまだ子供なんだろうと思う。重みが分かってない。
金凌も相当心に抱えてるんだろうなぁ。両親がいないことに関して、金凌が悪いことなんて何もないのに。
江澄、お前はまた…!
金凌泣かせた腹いせのつもりか。ちょっと前に蓮花塢に来て墓前で詫びろって言ったくせに、どの面下げてだとう!?羨が平気だとでも思ってんのか、おバカ!(くあっ)

蓮花塢前。
あー、先の台詞、実は羨にじゃなくて温寧に言ってた?分かりにくっ。
畑に植えられたとき阿苑2、3歳だったから!5歳ってどっから出てきたドラマ…。
温寧、思い出話で思追の記憶を刺激しようとしてたのかな。
蓮花塢の門は、羨にとっては金鱗台よりも敷居が高いと思います。それこそ、どの面下げてって、自分が一番思ってると思う。でも羨は腹括るのも早いから。
うさぎと一緒に育てられた思追。
彼の可愛らしさはうさぎ譲りかーい!確かに雲深不知処のうさぎは可愛い。にんじん好きな思追も可愛い(和)

女性2人の話。
まずは思思。11年前と言うことは、羨が死んでから5年後くらいにあった話。
思思は原作とだいぶイメージが違います。妓楼で人気者だった彼女は、肝が据わっててきっぷも良い姉御肌の人でした。ドラマでは答え合わせがないのでここで言っちゃうと、1人だけ生かされたのは同じ妓楼で働いていた光瑶の母親を何かと気にかけて助けてくれていたからです。
光善、だいぶえげつない死に方してますな。この人の場合、自業自得と言っていい気がするが。
続いて碧草。こちらは羨の死後3年弱くらいの頃の話。
光瑶と秦愫は異母兄妹でした。芳菲殿で夫婦が揉めてたのは、秦愫があのとき初めて事実を知ったからなのね。


光善はどうしようもない、で、次回持ち越し。
今回のタイトル「在りし日の面影」って、思追の幼い頃だったり蓮花塢の門構えだったりを指すんだろうと思いますが、読破組にはこれに加えて温氏残党の人たちも含まれるように感じる。
血の池、削られちゃったけど。あそこにいたんだよ。大切な人たちが。

陳情令感想 44話 裏切り者の旋律

陳情令第44話感想です。
原作との比較と、がっつりネタバレしますのでご注意。



第二次乱葬崗殲滅戦ネタ来たよー!!(落ち着けどーどー)
その前に。

綿綿のお家。
ちっちゃい綿綿より大人綿綿が可愛い(あれ)。16年間、羨は悪者ではないと信じてくれてたのがよく分かる笑顔が可愛い。ホッとする。そして忘機が始終穏やかで優しい顔してる。そうか、お仲間さんだもんね。
小綿綿にあげたお小遣いは圧祟銭(あっすいせん)と言って、子供のお守りの意味があるお年玉だそうです。何かもう、アレだ、これ原作では全てに方が付いて平和に2人旅してる途中の出来事だから、忘羨のやり取りが熟年夫婦のようだ。和む。幸せ。

温寧合流。
字面で見てたから予想はしてたけど、絵面で見せられると余計可笑しい。温寧、16年間意識がなかったはずだから、精神年齢的には金鱗台に出頭したときと一緒なんだということを思い出した。一生懸命なのは分かるけど、やることが多少ズレてるのが可愛い。
泥まみれの温寧のお顔を触る羨の手つきが優しい。
ふおおっ!何だろうなこの下の子の面倒見てます感!うっかりすると忘機が妬きそう。
後半は割と真面目な会話してるはずなのに、温寧の格好が格好でシリアスになり切れない(笑)

夷陵の町。
阿苑と一緒にいたのは一年くらいだったけど、羨にとっては特別だろうと思う。ドラマは触れ合いが多かったから余計になぁ。

乱葬崗の麓。
平時と戦闘時の温寧の雰囲気の違いよ。やっぱり体術が映えるな。楽器を使う優雅さとも違って、戦ってる感があって好き。

焼け落ちた伏魔洞と伏魔殿。
そう言えばドラマは分けてあったね。羨が寝泊まりしたり血の池がある洞窟が伏魔洞(向かって左側)、薛重亥の居城跡で温氏残党の人たちがいたとこが伏魔殿(向かって右側)。
㬢臣に話は聞いていても、実際目にしたらショックだろうと思う。ここで温寧がぎこちない笑顔を羨に向けるのは原作の名残です。原作温寧は体が死んでるので表情を上手く作れません。羨が辛いの分かってて、頑張って笑って見せようとしてくれるの。自分だって初めて目にして、ショックなのは一緒だろうに、なんて優しい子…!
確かに過酷ではあったけども、辛い思い出ばかりではなかっただろう乱葬崗の暮らしを焼かれて、それでも「これでいい」と言ってやれる羨も優しい。忘機が身を挺してここを守ろうとして、叶わなかったことを知ってるからね。

傀儡襲撃(少)。
もう少し浸らせて!(くっ)
体術バトル向きの温寧の体格が好き。突きや蹴りにちゃんと重さを感じるのがいい。
横一直線に弦を張って弾く忘機もかっこよくて好き。温寧と連携が取れるようになってるとか、いつの間に(によ)。

随便。
温寧が誤魔化しきれない顔してる。羨が頑張ってんだからお前も頑張れ!
「か弱い男」とか、事実と嘘を混ぜて誤魔化してるので冗談に聞こえるのが正解なんだけど、わざとらしいよ!肉体は弱くても精神はごんぶとのくせに…って、原作羨はそうだけどドラマ羨はそこまで太くない、かな。あれ。

お子様たちが囚われておりました。
現在でも夷陵老祖がどれだけ悪者にされてるかよく分かる台詞をありがとう(悲)。
でもいいの。何も言わなくても指示が伝わる、羨と温寧の間柄を見せていただけたので。ふふー(お手軽)。
「よくやった」
いや、忘機が褒めたのケンカじゃないから(笑)
羨を信じて疑わなかったことを褒めたの。現在編の含光君はブレませぬ。からの、
無言で金凌から羨を隠すシーン大好きなんですよー!!
孤立無援だった過去編を見てるから、無条件で守ってくれる人たちがいるのが感無量で。口では「守って」って言いながら、実際には自分の前に背中があることに慣れてないっぽい羨がまたよろしいのです。
ドラマ羨は原作羨と違って「陥れられた」人なので、金凌と向き合っても多少気が楽かと思うんですが、金凌は相当ぐるぐるしてるんだろうなぁ。憎むべき人と知らずにちょっと心を許しちゃったのも悔しかったり腹立たしかったりするだろうし、刺したのは正当だと思ってても謝りたい気持ちもありそうだし。頑張れ甥っ子。

伏魔殿の外に仙門世家の人たち。
各仙門の宗主筆頭にした精鋭が少しと、個人的に夷陵老祖に恨みのある仙士が少し、あとは「第二次乱葬崗殲滅戦」という大舞台の尻馬に乗って参加したことを自慢したいレベルの一般仙士が大半の軍。
不夜天のときとは忘機の立ち位置が違うのが嬉しい。藍氏を裏切らせてるようで心苦しくもあるけども、でも羨の隣にいてくれるとこれほど心強い人いない。

斂芳尊と沢蕪君が不参加の訳。
原作をそのまま持って来てるから、ドラマだけ見てると羨の「斂芳尊はよくケガをする」の真意が分からないかもしれない。要するに光瑶のケガはヤラセです。ドラマ過去編では光瑶が聶氏を出る際、明玦を庇ってケガをしたため情けとして命は取られず追放されましたが、原作では、

自分の腹を刺して自害を演出→明玦が助けようと霊力を光瑶に分ける→それを利用して明玦から大量の霊力を奪う(封印)→霊力切れで明玦が動けなくなってるうちに逃走

という流れでした。これと同じ手を㬢臣に使ったと言うことです。
明玦も㬢臣も、ケガをした自分を放っておけない人たちだと分かってて利用してるのが大層腹立たしい。

大半は無責任な人たち。
筆頭が姚宗主。ヒーロー願望があるのは羨じゃなくこの人だと思う。蘇渉とは別の意味でイラっとする。
冷静な羨の切り返しが秀逸。
カウンターがクリーンヒットした感じで、ちょっとスッキリ。

傀儡襲撃(本隊)。
襲撃(少)のときもチラッと思ったんだけども、ここ羨の縄張りなんですよ。過去編で乱葬崗を根城にしてた頃から、一帯の彷屍や怨霊たちを羨が陰虎符で兵隊にして縄張りを守らせてました。つまり、羨の息がかかってない他所の傀儡(彷屍)を乱葬崗に集めて罠を張るには、結界を壊すだけでなく乱葬崗中にいる羨の兵隊たちも一掃しないといけない。ものすごい手間かけてるよなぁ光瑶、って。今更思った。
一時退却した伏魔殿で推理タイム。
景儀、このズケズケ遠慮なく物を言う口の悪さでよく藍氏でやってけてるなと毎度思う。おかげで思追の上品さが際立つわー(笑)。ここのセットも好きです。凸凹コンビ。というか、挟まれてる啓仁先生が黙って言わせてるとこ見ると、景儀と同意見なんだろうと思う。
忘機と羨の一問一答形式は、その他大勢の三流仙士にも理解できるようにとの羨の気遣い。最初は相手にしてくれなかった啓仁先生が、途中からだんだん真面目に聞いてるようになる様子をちゃんと演じてくれてて嬉しい。だいぶ頭は硬いけど、理に適ってると納得できれば認めてくれるんだよね。


みんなの霊力を奪ったのは乱魄抄?、で、次回持ち越し。
さあ、本当の悪者は誰だ。

陳情令感想 43話 重なり合う心

陳情令第43話感想です。
原作との比較と、がっつりネタバレしますのでご注意。



雲深不知処、禁書室。
疑わしいところを自ら潰していく羨の推理に、付け入る隙がない兄上。容赦ない。
でもこれ、羨としては㬢臣に激怒される覚悟の上であろうし、光瑶の呪縛から㬢臣を切り離そうとしてるんだと思うんだ。㬢臣だから努めて平静を保ってるけど、心の中は麻酔なしで切り刻まれてるのと一緒じゃないのか。こんな思いを㬢臣にさせよって光瑶、許さん。
㬢臣が光瑶の人となりを語ってるときに羨が不遜な顔と仕草してたのは、語られる聖人君子のような光瑶が白々しいからであって、㬢臣本人に対しての態度ではないと思ってる。いくら㬢臣が見てないからって、「これだけ言ってもまだ光瑶を信じるのか」って呆れた態度だとは解釈したくない。羨は忘機に負けず劣らず沢蕪君を尊敬してると思うし。

影竹堂の㬢臣と羨。
えー、あー……うん?(考)
原作終盤の一大イベント(羨の欠けた記憶関連)をドラマ用に作り直して、元々の原作ネタの忘機兄弟の両親の話の前に差し込んだのね。

ドラマ版、戒鞭の理由。
えっと、時間軸がよく分からないんだが(悩)
「温情が一族を連れて金鱗台に謝罪に来た後」の回想となってるけども、そうすると最初の回想は温情に眠らされた羨が起きて伏魔洞を出てから、不夜天の決起大会に現れるまでの間に起きたこと?
忘機の右腕にちょっとだけ血が付いてるのは、ただ通せんぼしただけでなく蘇渉たちと戦ったんでしょうか。え、忘機にケガ負わせられるほどの実力者、蘇氏にいる?
光瑶の言葉どおりなら、双方一旦ここで伏魔洞には何もせず立ち退いたのかな。
次の回想では伏魔洞周辺が火の海で忘機が満身創痍だから、たぶん不夜天で羨が自害した直後と思われ。伏魔洞を焼き払おうとした光瑶たちに逆らった様子。先の回想と危機感が違う。あ、金氏が随便その他の羨グッズを手に入れたの、ここでか。
蛇足ですがこの構図、原作の藍氏粛清時の忘機と被る。伏魔洞を蔵書閣に置き換えるとまさにこうなる。温氏に蔵書閣を焼けと命令されて、抵抗した忘機が足を折られるの。意図した構図なのかしらスタッフ。
で、忘機が夷陵老祖に傾倒しすぎるのを重罪として、懲罰のために啓仁先生が戒鞭を使い、3年間は傷の回復と謹慎期間だったと。

原作版、戒鞭の理由。
羨の欠けた記憶がこれにあたります。血の不夜天で生き延びた羨は乱葬崗に帰るのですが、どうやって帰ったのかの記憶がない。ここに忘機が絡んでくる。
忘機もまた満身創痍でありながら、不夜天を去ろうとする羨(前後不覚でほとんど意識がない)を助けて共に逃走します。途中、羨を休ませているところに追っ手が掛かり、これが藍氏で忘機を高く評価し擁護してくれてる先輩たち33人だった。羨を守るために彼らと戦い退けて、羨を乱葬崗へ送り届けたあと雲深不知処に帰った忘機は、懲罰としてひとりにつき一打の戒鞭(計33回)を自ら受けます。
たった一打でも皮膚を裂き一生消えない痕が残る極刑のひとつである戒鞭を、一度に33回受けることがどれだけ厳しい罰か。原作忘機が第一次乱葬崗殲滅戦に立ち会えず(そもそも知らされてなかった可能性あり)羨の死に目にも会えなかったのは、傷が癒えてまともに動けるようになるまで3年かかったからです。
付け加えると、逃走中の忘羨を見つけた藍氏の皆様は、自失状態の羨(「失せろ」しか言わない)に寄り添って話しかけ続ける忘機を見てます。それで忘機の気持ちを知るのね。後々の様子を見る限りだと、夷陵老祖は好ましくないけども、忘機の恋心自体は反対せず受け入れてる藍氏の人たち(啓仁以外)って不思議だなぁと思う。それだけ忘機本人のことは認めてたり尊敬してたり慕ってたりしてるんでしょうね。
もうひとつついでに、ドラマ忘機にもある左鎖骨下の焼印の後も、同じ時期に忘機が自ら付けたものです。羨を亡くした喪失感から、彼と同じ傷痕を自分にも残したかったんでしょう。羨が好きだった天子笑を飲んで、酔って騒いで朝起きたら新しい傷が増えてたという。忘機…。

戒鞭って、言葉のとおり鞭だと思ってたけど棒状のものなんですね。33回でも死にかけるくらいの懲罰を300回ってドラマ…。

影竹堂とは、忘機たちの母親が住んでたところ。
母親が父親の恩師を殺した理由は原作でも分かりません。重要なのは、幼い兄弟がちゃんと母親に愛されていたと言うこと。
今の忘機をそのままちっちゃくしたような子供忘機は、可愛いと言うよりしっかりした子な印象。美しさはお母さん似か。
忘機は執着するタイプ。羨に執着してるのは、子供の頃母親に執着してたのと同じ。
ドラマ、上手いことBL回避してくるなぁ。いや確かにね、過去編で忘機が羨を雲深不知処に連れて帰って隠したいって言ったのは、父親の行動まんまだなと思ったよ。でもそれは、よく問題を起こす好きな人に対する対応が同じということで。
それを㬢臣兄様に、忘機の執着は恋ではないよと釘を刺されたなと。読破組には痛いです兄上ー(よよよ)
過去の忘機と今の自分が同じ立場と、よく理解している㬢臣兄様。光瑶が羨みたいな心の人だったらどんなに良かったか。

天子笑持参の忘機。
ぶはっ!ごめんなさい先に原作ネタ言わせて!
この天子笑は忘機が自室の床下に貯蔵(?)してたものの内の二瓶です。大梵山で忘機にお持ち帰りされた羨が雲深不知処を逃げ出そうとワイワイやってる際、これを見つけてこっそり飲み、水を入れて戻しておいたの。
忘機が影竹堂に持ってきた二瓶のうち、一瓶がそれで、知らずに飲んだ羨が吹き出すというコメディネタ。忘機に仕掛けたイタズラが自分に返って来ちゃったという話。

ではドラマではどうなってるか。
見事にシリアス系ブロマンスに仕上がってますな。天子笑が水じゃない(笑)

窮奇道と不夜天で。
ドラマ→羨以外の笛の音(第三者の存在有り)
原作→どちらも羨の術の暴走。誰の意図もない。

ドラマ羨と原作羨では責任の在処が全く違うので、惨事を引き起こしたのは第三者であって自分ではなかったドラマ羨は達観できても、原作羨には無理だろうと思う。
濡れ衣を着せられただけのドラマ羨は気持ち的にも身軽であり、尚且つ傍に忘機が居てくれるからこそ行き着けた境地で、ブロマンスとしては美しいシーンで嫌いではないんですけども、術の暴走という己の責任を自覚して全部背負って、それでも前を向ける強さを持つ原作羨を知ってる読破組としては、多少複雑なのです。
複雑だけどどっちの羨も好きですから!
でもここの吹替え「どうでもいい、好きにしてくれ」の台詞は、中国語の「随便(スイビェン)!」だからこそ生きると思う。確かに訳したらそういう意味だけど、羨の剣の名前と掛けているというのが分かることが大事。字幕で是非。
羨がいい話してるのに忘機が途中からこっそり琴のとこに行ってたのも、実はちょっと微妙だったり。最後まで聞いてから行けよ!と思ってしまった(苦笑)
忘機に聞こえないように言った「ごめんな、ありがとう」は、戒鞭の痕に対してでいいでしょうか。ごめんなで終わらなくて良かった、ありがとうが付いてて良かった!

翌日?
隠れてるのにうとうとしてる羨が。ドラマでもたまにシリアスになり切れないのはいいと思う。動じない忘機(笑)
光瑶、来訪。
通行玉令が失効した時点で、光瑶は㬢臣も味方ではない判断したと思われ。それでただ返却するだけなら、㬢臣の考えは正しいと認めたようなもんじゃないの。
「二度目の乱葬崗討伐」という言い方してるのは、㬢臣の回想にあった、忘機の戒鞭の理由になったあの、伏魔洞が火の海になってたのを一度目としてか。
㬢臣がどれだけ辛い思いしてるか、忘機にはよく分かるんだろうなぁ。忘機のが辛そう。

㬢臣は金鱗台、忘羨は乱葬崗へ。
うさぎ、ちょっとでかくなったか?と思ったら、抱き上げた子は子うさぎサイズになってた。相変わらず可愛い(によー)
羨に構われてる仰向け抱っこうさぎ可愛いー!!
手触り良さそう。いいなーもふもふしたい。癒し。
小動物が軒並み羨から逃げるのは扱いが雑だからだと忘機は思ったようですが、小動物からしたら羨が自分をお肉認識してると分かるからじゃないかと思ってる。捕食者と非捕食者。そりゃ逃げるわー。

旅路。
哀愁漂う曲なのに、吹いてる羨が楽しそう。聞いてる忘機も穏やかな顔してる。2人にとっては思い出の曲だからね。
残念なことに吹替では曲名が聞こえてるんだよ、なのに忘れてると思われてるんだよ、立つ瀬がないわ。忘機に覚えが悪い言われても言い返せないわ。
て言うか、忘機が作った曲だって言われたのに割とスルーだったな!?ええ、そこ大事なとこなのに!
あの曲は忘機が作って、玄武洞で羨に聞かせたっきり誰にも聞かせていません。羨と忘機しか知らないの。だから現在編で再会したとき本人確認になったのね。
ドラマEDをよく見ている方はお気付きでしょうが、あの曲の原作及び日本語名が「忘羨(ワンシエン)」です。気付いた瞬間に奇声を上げた読破組は少なくないはず(笑)

民家に立ち寄る忘羨。
綿綿ちになってる!(笑)
えっと、原作の流れでも民家に立ち寄りますが、綿綿ちではないです。ここに住むご家族の会話を、隠れてこっそり聞くだけ。
綿綿ちは別口で原作の最終盤に出て来ますが、それとここを入れ替えたのね。綿綿家族とのやり取りは本編内ではあるものの、全てに方が付いて、忘機と2人で平和に旅をしている途中の出来事でした。


懐かしの綿綿、で次回持ち越し。
過去編で数少ない味方だったからもあるけど、綿綿の屈託ない笑顔がホッとする。

陳情令感想 42話 清心音の謎

陳情令第42話感想です。
原作との比較と、がっつりネタバレしますのでご注意。



芳菲殿、隠し部屋へご案内。
芳塵軒から芳菲殿までどのくらい距離があるのか分からないですが、光瑶と蘇渉が時間差で忘羨の後に外から来たとこ見ると、羨が芳塵軒まで往復してる間に、光瑶が夫人への術かけと明玦の首を蘇渉に渡す→蘇渉が部下へ渡す→隠す、をやっていたのではないかと。
金夫人の自害。
全て自作自演なのにここまで被害者面になりきれる光瑶は憑依型の役者だなと思った。嫌な意味で使って申し訳ない。知ってて見てる読破組にはただただ白々しく腹立たしいだけの演技だけど、光瑶を信じたい㬢臣からしたら揺れるよな。
「私に話していないことがあるのでは?」
「(前略)莫家荘で…」
そっから!?
や、そうか、そっからか。31話分の過去編挟んでるから1話の話がすごい前のことみたいに感じるけど、まだほんの数日しか経ってないんだった。時間感覚狂う。
㬢臣の説明で明玦殺しの犯人に光瑶が疑われていると判明する訳ですが。
改めてこのシーン見ると、上記の光瑶の台詞から既に作戦だったんだと分かる。直前に突発で不可解な金夫人の自害があったのに、気がついたらもう誰も夫人を気にしてない。より衝撃的な話題にすり替えて一旦存在感を薄くしておいて、玄羽の名前をわざと出してみんなに意識させてから夫人の自害を再浮上させる。私は蚊帳の外です主張ついでに夷陵老祖復活もバラしちゃえ作戦、成功。腹立つ。
光瑶には腹立つけども、彼が羨に剣を向けようとした瞬間の江澄にはニヨった。あれだけ憎々しげに悪態ついてたくせに、いざ羨がヤバいとなったら体が動くんじゃんかほらー。本心から憎んでなんかいないくせに、天邪鬼め。だから忘機に遅れを取るんだよ。

改めて夷陵老祖確定。
懐桑、これも大概狸だけども今は黙っとく。
本来はここまで一切なんの匂いも気配もさせず、この懐桑の疑問で初めて随便の封剣の事実が明るみに出ます。逃れようのない確実な証拠。
ドラマ光瑶が「(羨の死後)金氏で保管してから程なく封剣した」って言ってるけども、これは上記した原作の名残で、ドラマでは羨が乱葬崗落ちした後にこっそり封剣を匂わせるシーンを入れてたから、衝撃の事実とは言い難くなってるのが残念。実際この場で本気で玄羽の正体を知らなかったのって、モブの門弟さんたち以外は金凌だけなのよね…。

金鱗台から逃げます。
いやいやちょっと、芳菲殿前の門弟の人たちぼんやりしすぎじゃない?
変な間伸びのせいか深刻になり切れない上に、段差が小さい階段をちょこちょこ駆け下りる様子が可愛いんじゃよ!
忘機が羨の腕を掴んだままだから余計。あれか、現実的にはタイミングを合わせるため、物語的には共情後で本調子じゃない羨が階段を転げ落ちないようにという忘機の気遣いか。
踊り場で囲まれるお二人。
逃走の方法自体は原作と違うけども、羨と忘機それぞれの思いは原作と同じなので、ドラマバージョンも良いと思います。忘機の名誉を守るために自分から切り離そうとする羨と、羨の傍を離れる気など微塵もない忘機。ニヨる。
過去編の忘機は対岸から手を伸ばしてただけだったけど、現在編の忘機は完全に羨側に立って同じ方向向いてますから。ブレない。すごい安心感。羨の死後16年かけて熟成された気持ち。もうドラマも悔いとか通り越して愛情でいいと思うの、ブロマンスだけど!
ここで忘機に覚悟を問う羨の台詞が、過去編の窮奇道で止めに来た忘機が羨に言う台詞と被るのよ。過去では決別を意味した言葉が、今は絆を確かめる言葉になってる。「愚問だ」の忘機好き。あの頃とは本当、忘機変わったなぁ。羨に死なれたのが心の底から堪えたんだろうなぁ。
金凌、いつの間に降りて来た?
あなた上にいたよね。階段に脇道でもあるのか。
羨が脇っぱらを刺される訳ですが。
ドラマの門弟さんたち、黙って見送ってくれるの親切だな!?(ぽかーん)
原作だと金凌に羨が刺されたのを機に乱闘が始まります。あの忘機でさえも息が上がるくらいの戦闘を経て、失血で意識が朦朧としてる羨を背負って御剣で逃げ切る。

不夜天の回想。
江澄は最後の最後で踏みとどまったわけですが。そう言えば16年経った今でも2話で景儀が誤解してたとこ見ると、知ってるのは羨と忘機と澄本人だけの様子。忘機も澄も真相を黙ってたのは、羨の意図を汲んでくれたからかな。澄はこの後おそらくどん底まで後悔して、羨を憎むことでどうにか自分を保って来たんでしょう。どこまでも不器用…。
自分の傍に澄じゃなく忘機がいることが、まだちょっと不思議な羨。
忘機はね、愛だから。澄羨間のとは違う愛。大事にしたくてしょうがないのよー(原作脳)。

雲深不知処。
お目覚めの羨の顔に「まぶしー」って書いてある(笑)
ドラマでは献舎(舎身呪)の傷がひとつ残ってたっけね。確かこの後触れられずに終わっちゃってたと記憶してるけども、羨はもうひとつ、金凌から移した悪詛痕も足に持ってます。忘れられてる…?
原作だと莫家荘で献舎痕は4つとも消えていて(解消済み)、ここで目覚めたときは足の悪詛痕も消えています。どうやら明玦の体を全部見つけたことで呪いが解けた様子。
この時点で原作は羨が抱える時限爆弾が全て解除されて自由放免になりますが、ドラマはまだひとつ残ってる状態。忘機としてもまだ安心できませぬ。
生前の莫玄羽が何か、ただの変な人ではなかったかもしれないような話になってる。
玄羽はもしかしたら自分を守るためにおつむが弱いふりをしてたのかもしれない、とか。原作玄羽は献舎の代償が莫家荘の中だけだったから黒幕その2に利用されただけだろうなーくらいで特に悩まなかったけど、ドラマはターゲットに光瑶が入ってるから勘ぐりたくなる。

おかえり随便。
切ない。思い入れがないわけがないんだよ、10代で霊が宿るほど絆が深いんだから。この先、戦いで活躍させてやれる機会がないのが辛い。
でも感傷は一時、すぐ切り替えられるのが羨なのです。自分で選んだ道だから。強いなぁ。

㬢臣兄様大好きすぎる。
「申し訳ないが」と言ってるけど、羨にとってはここほど安全な場所はないです。羨に気を遣わせないように、宗主である自分が強要してる体を演出してくれてるのが優しい。
光瑶を悪ではないと信じてる㬢臣が忘機と被る。被るゆえに、忘機としては気持ちが理解できるので否定できないんだろうなぁと思う。㬢臣が否定しなかったから過去の自分は色々乗り越えてこられたんだからね。
それでも中立という言い方で味方になってくれる兄上は本気で良い人です。ありがとうありがとう。原作脳だとこのときは兄上、既に忘機の気持ちを知ってて理解もしてる状態ですから。光瑶のこととは分けて、大事な弟の恋路を全力応援中。
藍氏双璧の鉄壁防御に守られてる羨。孤軍奮闘だった過去編との違いよ…過去編では説明する機会どころか、何ひとつ耳を貸してさえもらえなかったからなぁ(しみじみ)。

清心音の再現。
このシーンの3人の台詞のやり取りは原作とほぼ同じです。「難しい曲」「吹き間違え」「一部分が」という言い回しから、字面で見てたときはほんの一音か二音、音を外すとかタイミングがズレるとか、その程度の本当に些細なミスに感じるくらいのものだと思ってた。だからドラマで最初に聞いたときは、「違和感がない」と言う昭和歌謡の部分も正しい清心音で、その中のほんの一部が変えられてるのかと。これだけ曲調が変わるならそれは確かに難しい曲だよなーくらいに思ってた。

禁書室へ。

「乱魄抄」の読み方
ドラマ→らんはくしょう
原作→らんぱくしょう

らん「ぱく」しょうで馴染んでたから、違う読み方がとてもとても気になるんだよ!
地名の彩衣鎮(原作「さいいちん」ドラマ「さいいちょう」)でも思ったけども、何で変える。原作と一緒じゃダメなのかー(よよよ)

気を取り直して、乱魄抄。
東瀛とは日本のことです。だから昭和歌謡だったのね!
和風な楽曲の部分全部が乱魄抄でした。
違和感だらけだわ!
改めて曲として繋げて聞くと、とても気持ち悪い。確かにこれは心を乱すわ。


明玦の死の原因は乱魄抄では?、で、次回持ち越し。
羨の問いに誠実に答えてくれる㬢臣兄様がやっぱり優しい。心の中では否定したい方向に話が向いてってるだろうに、穏やかに、冷静に、ひとつひとつ事実を確認していく。
光瑶を追い詰めて行く作業のはずなのに、㬢臣を追い詰めて行ってるようで、忘羨ともに心苦しいんじゃないだろうか。ごめんね兄上ー…。

陳情令感想 41話 両者の溝

陳情令第41話感想です。
原作との比較と、がっつりネタバレしますのでご注意。



共情開始。
赤鋒尊の記憶に入ります。
あれ、あの青い校服、聶氏だった?
ちょっと江氏と並んで欲しい、区別が付かぬ…。

孟瑶との出会い。
ドラマは孟瑶が聶氏入りするのだいぶ早いんだよね。本来は、雲夢の遊郭で生まれる→母親が死んで13歳くらいで金鱗台に行くが光善から拒否られる→数年後、射日の征戦が始まった頃に聶氏入り、なんだけど、ドラマは拒否られてすぐ聶氏入りしたっぽい雰囲気なので、この頃はまだ13、14歳くらいか。子軒と誕生日同じなので、羨たちとも歳がどっこいです。なってもひとつ上くらいかな。
洞窟の聶氏門弟たち、明玦の性格からしたらそれはけしからんでしょう。とは言え今顔知ったばかりの人となりもよく知らぬ子供をいきなり副将にするとか、さすがに驚いたわ。兄上ちょっと落ち着こうか(どーどー)
孟瑶からしたら、取り立ててもらった感謝より何より、こいつ使えると思った瞬間だったんじゃないの。

不浄世に温氏襲撃、からの聶氏追放。
過去編のおさらい的な。
将棋のように何手も先を読んで、最終的には自分の思い通りに行くように計算してるんでしょうが、一手一手が命懸け綱渡り。ちょっとでも読みが外れたら死ぬ選択でも、情に厚い明玦は裏切らないのよ。孟瑶の読み勝ちなのが腹立つ。

射日の征戦中に温氏入りしていた孟瑶。
過去編になかった父親ネタ来ました。
孟瑶の話だけだと目に涙が溜まるほど明玦が逆上する理由に足りないと思うので、ちょっと補足。明玦の父親の命とも言える刀は、仙督である若寒の命令で奪われ、ガンガン叩かれてポイと返してよこされます。強敵を相手の夜狩の際に、その刀が折れ、父親は若寒への怒りを抱えて邪崇に殺されます。明玦がまだ子供の頃のことで、成長しても癒えない心の傷になってる。それを引き合いに出されたの。
明玦からしたら腸が煮え繰り返る思いだろうと思います。孟瑶の本性にうっすら気付いていながらも、追放後の身を案じるくらいはまだ情があったのに。

現実の羨。
共情してる羨は、明玦と五感と感情を共有しています。明玦の記憶を見ているだけだと自覚があっても、過去に明玦が感じていた猛烈な怒りに脳を焼かれてるような状態。
呑まれないように抗いながら情報収集するのがどれだけ大変か。強い怨霊との共情が危険なのはそういう理由。

若寒討伐直後の炎陽殿。
いやもう、孟瑶だけだったら何言われても白々しくて腹立つだけなんだが、㬢臣が本気で庇ってるから無碍にも出来ないー。何も知らずに片棒担がされてる㬢臣が不憫でならない。こんな誠実な人まで駒にして…。
過去編のときにも書いたけど、孟瑶はどっちにも適度に貢献しておいて、勝ちが見えた方に擦り寄ってるだけです。孟瑶の命懸けの献身だと信じてる㬢臣がかわいそうで辛い。

義兄弟の契り。
まさに孟瑶改め光瑶に向けた誓い(牽制)の言葉。
改めて聞くとすごい刺々しい。

清心音。
やっぱり㬢臣は格が上だなぁと思った。琴に向かう姿が美しい。剣と笛のみならず琴もいけるとか、さすが宗主。忘機が笛使ってるの見たことないもんな。含光君と言えど、まだまだ兄上には敵わんか。ふふふー。あ、元から光瑶は眼中にないです(酷)
悪い顔してる光瑶。㬢臣兄様気づかないんだもの、人良すぎですわー(しくしく)
で、㬢臣に清心音習った光瑶がひとりで明玦に聞かせるようになるわけですが。
突然の昭和歌謡にビックリ。何事かと思ったわ!
読破組は裏を知ってるのである程度予想はしてたけども、こんなあからさまに曲調の違う、しかも昭和歌謡っぽいのが来るとは思ってなかった。笑うとこじゃないんだけど思わず吹いた(笑)

現実の羨、再び。
刀霊の呪いが悪化して吐血してる明玦兄と同じ状態になってると思ってください。
こっちでも清心音。
同じ楽曲なのに、忘機が弾くと優しーく聞こえるのが不思議。実際にそういう演出をしてるのか、私の心持ちがそう聞こえさせてるだけなのか分からぬけども。

刀霊に蝕まれてる明玦。
ショックを受けてる㬢臣の顔を見たら、これが明玦らしからぬ様子だということがよく分かる。明玦が光瑶の能力を認めて重用してた頃から2人を知ってるから仲直りさせたかった㬢臣からしたら、どうやっても溝が埋まらない2人の様子は見てて辛かろうと思います。光瑶がわざと仕向けてるんだからどうしようもないのよ、あなたの力不足とかじゃないから!㬢臣兄様が心を痛めてるのが辛い…。
薛洋の処遇をめぐる諍い。
ドラマは薛洋が金氏入りしたの羨の死後すぐだったらしいから、これは羨が死んでからまだそんなに経ってない頃か。
証言を覆した常萍は光善に買収されております。現役宗主の実父には逆らえない体を装いながら、光善の欲たかりな性格を上手いこと利用してる光瑶。明玦にはその辺も見抜かれていた訳ですが、口から生まれたみたいな策士の光瑶に口では勝てませぬわな。強者理論絶対の明玦と弱者故に搦め手と口車だけは達者な光瑶。どっちも極端すぎなんじゃよ、足して2で割ったらいいのに。
「大事を成すには犠牲が付きもの」
お前が言うな。お前の大事は自分の保身でしょうが。100人殺してでも自分1人が助かればいい奴が何を言ってる。
…って、これも光瑶の作戦なんだった、重ねて腹立つー!(きいっ)

まんまと術中にハマっちゃった明玦。
歴代の聶宗主が辿った末路がこれかと思うと、聶家の業の深さが恐ろしい。でもたとえ光瑶のせいで早まっただけでいずれはこうなっていたんだとしても、光瑶は許せないわ。ただただ保身のために明玦が邪魔というだけの理由でここまで策を弄するとか、ものすごく小心者で臆病なくせにやることが悪辣すぎる。
懐桑だって、この瞬間までは座学時代の気の良い子分みたいな子のままだったんだよな、と思うと、光瑶に人生狂わされた人がここにもひとりいた。

行方知れずとされていた明玦は隠し部屋に連れ込まれてました。
薛洋が持ってるのが、血の不夜天で羨が砕いたオリジナル陰虎符のカケラを元に、自分が持ってた5つ目の陰鉄で作った陰虎符もどき。ドラマ陰虎符は生きてる人間を傀儡にできるんでしたっけ。でももどきでは力が弱い上に、明玦は心身が強すぎて傀儡に出来なかったと。
温寧にも同じことしたんだろうな、これ。首は落とさなかったけど。

共情から抜けました。
紙無羨vs.光瑶。
光瑶の剣、恨生(ヘンシァン)は軟剣で、手に持つ形の一般的な鞘ではなく、腰に帯のように巻いて携帯してます。丸腰みたいに見せかけてちゃんと武器持ってる辺り姑息だなと思う。
棚の木材スパスパ切ってるとこ見ると切れ味は良いようですが、危ないからって紙灯籠の中に隠れるのやめれ。切られるより火の傍にいられる方がよっぽど怖いわ、燃える!(ひー)
こんなところに随便。
原作だと第一次乱葬崗殲滅戦の際の戦利品として金氏が回収してましたが、ドラマは血の不夜天で死んでるから…随便、どっから金氏に来た?
随便はやっぱりグータラなおっさんのイメージだなぁ。本気出せば避塵と張るのに働きたくない子。好き(笑)
原作だとまだ封剣してるって読者は知らないけど、ドラマは過去編からもう匂わせられてたから、光瑶のあの表情も、うんそうねバレるよね、って分かってしまうのが微妙。この後衝撃の事実!ってなるはずだったのだけど。

お部屋に帰ります。
お迎えしてくれる忘機が優しい。
手の上で紙無羨がへばってる…!変なとこツボった(笑)
本体に戻りました。が。
顎ゴッチンないの!?
ないかー。そうね、このシリアスな雰囲気ではな…残念。
戻ったばかりの霊識が肉体にまだ馴染んでなくて、よろけた羨を忘機が支えてくれるのはドラマと一緒なんだけど、原作はこの後、急に頭上げた羨が上から被さるような位置にいた忘機の顎に、良い勢いで頭突きします。痛い。そんでごめん言う代わりに羨が自分の頭と忘機の顎をさすさすするという、微笑ましいアクシデントがあったの。
わりと大変な事態なのに気が抜けること、ちょいちょいやらかすんだ原作忘羨は。シリアスになりきれない人たち(和)

㬢臣と合流。
話が早い兄上がさすがです。光瑶を信じたい気持ちの方が強いだろうに、無闇に渋ったりこっちを疑ったりしないところ惚れる。
芳菲殿前。
金凌はこれたぶん、叔父上を守りたいんじゃなくて、そんでなくても金氏の人たちからの覚えが悪い莫玄羽が更に悪く思われるのを心配して止めようとしてんじゃないの。
優しい顔じゃない㬢臣兄様、珍しい。常に穏やかな人が本気出すと怖いの典型かもしれない。こういう㬢臣は初めて見たんでしょうな。あの光瑶が気押されてる。


蘇渉出たところで次回持ち越し。
見る度に思うけど蘇渉、藍氏系の白衣装、本気で似合わねぇ。それに、全体が白いのに剣は黒いんだよね。ほとんどの仙士は校服と揃いの色の剣を持ってるのに、蘇渉だけチグハグなの。
原作だと蘇渉の剣の色までは分からなかったから、ドラマでわざとそうしたんだとしたら上手いなと思う。蘇渉の歪んだ心が姿に出てるみたいに見える。

陳情令感想 40話 首級の行方

陳情令第40話感想です。
原作との比較と、がっつりネタバレしますのでご注意。



揉めてるお子ちゃまたち。
姿が一緒だから忘れがちになるんだけど、みんな羨を莫玄羽だと思ってて、夷陵老祖本人だとは知らないんだよね。その上ドラマは過去の羨と薛洋が同じ時間軸で生きて接触してるから余計、世間的な悪者感が増してる。
でもそこはさすがに仙士の卵たち、ちゃんと自分たちで収拾をつけられるのは偉いなぁと思う。この中ではおそらく思追が最年長、金凌が最年少なんだよね(3歳差)。折れてくれてありがとうお兄ちゃん。
含光君の存在感。
恐れられてる(笑)。いや、うん、美人の宿命(?)。
ここでね、実は色々やらかすんだわ酒で。酔った忘機が抹額で羨の手首を拘束して弟子たちの前を引っ張ってったりとか。例によって予測がつかない奇行で羨が大惨事、弟子たちもぽかーんていう。
そのぽかーんを、ドラマでは含光君が酒を頼んで部屋に持って行く姿だけでさせてましたね。ショックで景儀がお肉を落として、思追がそれをお箸で景儀の口に戻してあげるシーン好き。仲良し。可愛い(和)。

別ルートで先にお部屋に入ってる羨と、温寧の奇行。
温寧ってこういうキャラだっけ!?って原作でも思った。何をやってんの。羨、物思いに耽る暇もない(笑)
温寧がたまにやる、起き上がったときとかに簾になった髪を両手で左右に分ける仕草が可笑しい。結えよ!と思う。けど、いい。
何を求められてるのか分からなくて首を傾げる仕草がワンコ…ワンコだ。本当、あなたはそのままでいて(癒)

さりげに酷い忘機。
「記憶力が悪い」のは一部に於いては理由があるの!羨がおバカちゃんみたいに言うなし!
忘機が羨に気づいた理由については、羨は知らないから。曲は覚えてても曲に関する事情は知らないんだからそう簡単に結びつかないんだよ、意趣返しかコラー。ドラマ忘機は言い方が厳しいんじゃー(しくしく)

沢蕪君と一緒に金鱗台へ行くことに。
自分にとってどれだけ受け入れ難いことでも、意固地にならず客観的に、公平公正に判断しようとする㬢臣の誠実さが愛しい。この兄がいてこその忘機なんだよなと思うと本当、㬢臣兄様大好き。
あれだけ頑固な啓仁先生に育てられて、なんでこんな懐の深い優しい人になったのか不思議。血か。どっち似だか分かんないけども。

金鱗台。
姑蘇藍氏の枠に羨が入ってるのが複雑。いや体は玄羽なんだから藍氏枠でおかしくはないんだけども(莫家荘は藍氏管轄)、欧陽氏挟んですぐ後ろに江氏がいるんだもの、気になるじゃん!
羨にとってはものすごく敷居が高いよな。どの面下げて…って自分で思ってそう。
って、思ったところに江澄。あれ、江氏たち後ろにいたのになんでお前だけ前にいる?(謎)
金凌と共謀して自分から逃げたんだから怒ってはいるんだろうけども、これ明らかにヤキモチだろう。何でお前が藍氏枠にいるんだ、っていう。澄よ、羨に戻ってきて欲しかったらその棘全部引っこ抜いて来い。

仲裁に入る斂芳尊。
このメンツって、玄羽の中身が羨じゃなくても、とてもとても居心地の悪い針の筵状態だと気づいた。原作玄羽は断袖です。金鱗台を追い出された理由は、光瑶本人に言い寄っていたから。それも周知の事実で金凌も知ってる。加えて光瑶と玄羽は異母兄弟の間柄(光瑶が兄)。まともな神経なら敷居跨げないよね、ていう話。
そんな何だかとても微妙な関係の人の突然の来訪にも、そつなく丁寧にお客さんとして接する光瑶は、パッと見ただただ人の良い優秀な人物なんだよね。こんなとこだけ見せられてたら、羨でさえもそれは疑いづらいわ。化けの皮のなんと厚いこと。

酔っ払い懐桑。
最初のときは何の疑いもなく懐桑相変わらずだなぁとか微笑ましく見てたんだ。全部知ってから見ると彼の怖さが分かる。
まぁでも実際に、裏の事情がなければ懐桑てすごいいい位置にいるお得な人なんだよね。こうやって泣きつける優秀な義理の兄上が2人もいて、うち1人は誠実を絵に描いたような本心で頼れる㬢臣兄様。羨ましい。絶対これ忘機より懐桑のがあからさまに甘えてると思う。㬢臣、忘機に抱きつかれたことなんてなさそうだしなぁ。

「遠くへ行くな」
忘機、最大の妥協。
台詞だけ聞くと子供に言い聞かせる言葉みたいだけど、割と真剣だと思われ。首を探しに来たんだからある程度の別行動はやむなしとは言え、敵陣のど真ん中で離れるのは忍びないよね。金鱗台広いし。
それに比べて「遠くへ行っても夜には戻る」って、お前は本当に忘機の心が分かってないな!行くなっつーのにもーう、もだもだするわ、この鈍ちんめ!

夜のお庭で一悶着。
金凌より金凌みたいなのがいた。年上のいとこさん。直系は金凌の方なのに、やっぱり生まれた直後から両親ともいないんでは立場が弱いか。こんなんばっかり周りにいてて孤立してるから、刺々しい子になっちゃったのね。金凌も苦労してんだな。
ドラマ玄羽は光瑶でなくて、夫人の方に手を出してました。そっちかー。自分の夫に言い寄ってた人だからあの態度なのかと思った(原作脳)。余程鬱陶しかったのだろうね。
ケンカのやり方教える羨。
あーあー、悪いこと教えちゃって(笑)
ここら辺の金凌は子供らしくて可愛い。ツンツンはしてるけど、やっぱり根は素直でいい子なのが滲み出てる。莫玄羽としての羨の株が上がってるよ。教育係があの叔父2人では、それは窮屈だったでしょう。羨のような自由さは魅力的に見えるだろうなぁ。

心変わりをしたんだよ。
ぶはっ!あ、いや、いいですいいです無問題。
うん、そうか、ドラマはそんな感じなのね。夫人にはもう気がないから謝りに来たと。
原作は斂芳尊から含光君に鞍替えしたことにしてました。そんなわけで、

ドラマ→金凌に仙子を呼ばれそうになって羨が逃げる。
原作→羨が如何に含光君が好きか訥々と語り出して金凌が逃げる。

ついでに原作はこの歯が浮くような嘘の愛語りを含光君本人に聞かれるというオチ付き。デカい墓穴だなぁ羨。
このシーンはドラマ版も好きです。羨を追い払った後の金凌の得意そう楽しそうなお顔が可愛い。金凌の勝ち。

お部屋に戻って作戦開始。
剪紙化身やります。
紙無羨が可愛いんじゃよ!ドラマでは過去編でもちらほら登場してた紙無羨、今回が本家本元です。忘機の頭に張り付いて抹額ちょいちょいするの可愛い。ニヨる。文章だけでもそう思ってたのに、映像の破壊力半端ない。
注釈がないので補足。この度の剪紙化身は羨の霊識全乗せで行っているので、時間制限がある上に、依代の紙に傷がついたり破れたりすると霊識も壊れるので命に関わります。制限時間内に無傷で戻らないといけないという、実は繊細極まりない危険な偵察。
…のはずなんだけど、なんせ羨だから。ドラマは特に視覚からもう可愛いしか出てこないので。お気楽極楽。緊張感微塵もないな!(笑)

芳菲殿侵入。
文鎮が重くて手紙引っ張れない紙無羨かわいい。この小動物感は反則。本体では見られない、この形ならではの仕草の可愛らしさが堪らん。
可愛い羨とは裏腹に深刻な様子の金ご夫妻。
突然の昼ドラで羨もビックリ。黒幕その2が本格始動。よってここら辺から黒幕その1だった光瑶がじわじわと追い詰められる側になっていきます。いい夫だった光瑶の醸す雰囲気が異常者っぽくて怖い。

隠し部屋。
何かどっかで見覚えのあるぶっとい鎖が…。温寧、ここで拘束されてたのね。
赤鋒尊の首がありました。
封印するための法器か何かでしょうか、ここまでデコられててよく赤鋒尊だって分かったな。
で、え、待って羨、自分から行くの!?
や、ちょっとびっくりした。あまりにも強い怨念を持ってる霊との共情は危険なので羨にその気はなかったところを、肉体という土台がないために踏ん張りきれずに明玦兄に強制的に共情に引っ張り込まれるというのが原作の流れでした。


さてどうなる?で、次回持ち越し。
そんでなくでも剪紙化身という、存在として不安定な状態で共情まで始まっちゃって、さぁ大変。紙無羨が可愛いとか言ってる場合じゃない。

陳情令感想 39話 こぼれ落ちた飴

陳情令第39話感想です。
原作との比較と、がっつりネタバレしますのでご注意。



霧の中で舌戦、羨vs.薛洋。
これは羨の作戦です。霧に紛れて捉えられない薛洋を動揺させることと、薛洋に喋らせることで忘機に位置を教えることが目的。
これね、羨が言ってることがよく分からなかったんだ。ドラマは特に共情の内容を途中までしか見せてないので、視聴者はその後の薛洋と星塵を知らない状態での羨の弁論だから(羨は最後まで見て知ってる)。
フライングになっちゃうけど、原作と合わせて考えてようやく分かった。常萍を凌遅(少しずつ肉を削ぎ落とす殺し方)したとき使ったのが霜華なら、星塵が死んだ後にやったってことなんだよね。星塵の死後の薛洋の状態を考えると「復讐されるべきなのはお前」という羨の理論に行き着くんだ、なるほどー(手ぽん)。「復讐」という言葉が掛かるとこが違うの。身も蓋もない言い方すれば薛洋の自業自得。すごい重い意味での。
薛洋のあの顔、本当は分かってたのを言い当てられた顔なのか、思いもよらなかったことを言われた顔なのか。

刺顱釘キャッチの温寧が男前。
忘機より離れてたのに!
戦闘モードの温寧は立ち姿がかっこいい。平時のぽやっとした天使ちゃんとのギャップが好き。
しかしセコム機能が温寧のが上とか、忘機、内心ですごい悔しがってそう。護衛対象一緒だから守れるならどっちでもいいとかではないのだ、気持ち的に。
しかしこの刺顱釘、血が付いてるんだが。羨が宋嵐からあっちとこっちでそれぞれに抜いてポイしてた刺顱釘を、薛洋こっそり拾ってたの?

阿箐の執念。
原作では幽霊だった阿箐ですが、ドラマは生きてる傀儡扱いの様子。10年前と同じ姿なのは、傀儡は歳取らないとかそういう?(謎)
ドラマだとすごいザックリなので原作からちょっと補足。星塵の死を見届けた後、薛洋から逃げ出す阿箐ですが、星塵の仇を討てる仙師を探す途中で薛洋に見つかり、目を潰され舌を切られて殺されます。羨はここまで共情でしっかり見てる。ドラマで共情の終盤を濁す撮り方したのは、阿箐を幽霊でなく傀儡として出す都合だったのね。

鬼面男乱入。
ドラマ→鬼面男が陰虎符だけ持ち逃げ。
原作→墓荒らし(ドラマの鬼面男と同一)が薛洋ごと持ち逃げ(?)

ドラマは薛洋が見捨てられた感すごいなーと思ってたけど、よく見たら一応彼も連れて行こうとはしてましたね。多少は仲間意識があったのか。
前からうっすら思ってたけども、薛洋は痛覚欠損だったんじゃないだろうか。明言がないからあくまで想像だけど、生まれ付き痛みを感じる細胞がないから、痛みに関する心が育たないまま人格形成された結果が薛洋。いや、例えば酷い幼少期を過ごして痛みに耐性が出来てたとも考えられるけど、そうだとしても片腕切り落とされて平気な顔してるとか、普通ではないと思うんだ。

蛇足補足。
原作だと墓荒らしに薛洋ごと持ち去られるので、ここで薛洋の出番は最後になります。
ホッと一息ついたところで忘機から羨に、ホイと投げ渡されたのが片腕兄さんの右腕。これで片腕兄さんの頭部以外が揃います。が、大事なのは、濃霧の中宋嵐以外との戦闘を一手に引き受けていながら傷ひとつないばかりか、右腕を探す余裕まであった忘機の高性能っぷり。スペック高すぎ。惚れるわー。

ドラマに戻って、置いてかれた薛洋と薛洋の記憶。
飴の話がただ子供の薛洋が欲しがったところからしか語られてませんが、本当はもっと酷いです。もともと飴は常萍の父親が浮浪児の薛洋にあげる約束をしたもの。菓子が欲しいならと交換に酷いお使いを押し付け、薛洋が出先で殴られて戻ったときには菓子はなく、常萍の父親も馬車で帰ろうとしてた。だから約束の飴をくれと縋ったら鞭で打たれて指を轢かれた、という話。
理不尽に理不尽で返した復讐話ではあるんです。あるんだけども。ここまでなると理解も納得も共感もできない…。
「許してくれ」
ドラマの星塵のこの台詞は、薛洋に対する言葉ではないように感じる。原作だと言い回しが違うので薛洋に言ってると思ったけども、ドラマのこの言葉は宋嵐と、殺してしまった村人全員に対して向けたものではないかしら。薛洋は自分に対して許しを乞うてると思ったみたいだけど、自らが宋嵐を殺していたと知った時点でもう星塵の頭から薛洋の存在は消えてたと思う。
夜。
甲斐甲斐しく遺体の世話をする薛洋の歪みが気持ち悪い。死が絶対ではない世界だから、蘇らせる思考自体はおかしくないんだけども。それでもこの愛しい人を扱うような優しさと嬉々とした様子が、精神の異常ぶりを見せつけられてるようでゾッとする。
嬉々から鬼気へ。
ここまで魂を痛めつけられて自害した人が蘇るわけない、ということまでは理解できないんだね。それを言ったらドラマ羨もよく魂が無事だったなって話になるんだが(原作羨とは死因が違う)。
薛洋の最期。
原作では忘機が薛洋を刺したけども生死は曖昧にされていたところを、ドラマではきっちり見せてきましたね。星塵の仇を宋嵐が取ってくれた形にしたのか。阿箐、最後の願い、叶ったよ。
星塵の真心が泣かす。本当に本当にもう、何でこんないい人がこんな目に…(泣)
薛洋の愛情表現だったんだなぁ…って納得できるかー!
壮大な感じにしてるけど同情なんかしない。死んだからって同じとこに行けると思うな。

阿箐にお墓作ってあげる御一行様。
道っぱた(…)。ずーっと後の世に、いつの間にか道祖神とかに格上げされてそう。実は結構情に脆かった景儀と号泣してる子真辺りが、折に触れて手を合わせに来てくれそう。成仏しておくれ。

「幸いだった」
「何がだ?」
いやホントに。
これね、ドラマオリジナルの台詞で答え合わせもないので、ずっと考えてたの。薛洋含めた義城編メンバー4人それぞれに、幸い、が当てはまるかどうか。最初は阿箐に対しての言葉かと思ってた。自分らがここに呼ばれたために、結果として阿箐の無念を晴らせて良かったって意味かと。
でも今この感想書いてて思い直した。チラッと上記したけども、ドラマは星塵と羨の死因が同じなんだよね。絶望からの自害。普通に考えたら星塵と同じで、あそこまで追い詰められた魂が無事なわけがない。砕けててもおかしくなかったのに、事実として羨の魂は健全な状態で残り、たとえ陰謀に巻き込まれた結果だったとしても献舎を経て蘇ることができた。忘機にとってはまさに「幸いだった」だよな、と。
理解してからこのシーンを改めて見ると、台詞を言う前の忘機の所作とか視線とか間とか、醸す空気が全部羨に向かってんだよ。思わずニヨった。
これで当の本人が「何がだ?」て、お前のことだよ!
忘機、がんばれ(肩ぽん)

宋嵐との別れ。
あれ、宋嵐、首の血管模様がない。主人(薛洋)が死んだから術が解けて、生きた普通の人間に戻ったってこと?顔色も温寧みたいに青白くないし。
星塵に殺された云々は……ま、いっか。
ドラマは星塵の霊識だけなんですね。原作は星塵のと一緒に阿箐の霊識も渡しています。
砕けた霊識を抱いて、いずれ蘇るかもしれない友を待つ旅に出る宋嵐。忘機は、宋嵐が自分と重なるんだろうと思います。それでも自分は、16年で再会することができた。宋嵐にもそう言う未来を願ったんじゃないかしら。
守ってあげて、霜華(願)

本筋に戻ります。
ドラマは棺の下に頭部以外の体が揃った状態で鎮圧されてるのですね。だから体そのものじゃなくて刀霊を利用したのか。

潭州再び。
過去編でやった蒔花女の花園が、本来はここに入ります。花園で、首以外の体が揃った片腕兄さんと弟子たちが命懸けの抜き足差し足鬼ごっこする。そんで合流した㬢臣兄様と忘機で鎮圧する。
それはそれで割と平和な感じのエピソードでしたが、ドラマは普通に平和な憩い時間になってますね。夜店でキャッキャする弟子たちが子供らしくて可愛い。歳で言ったら中高生くらいだもんなぁ。
それぞれが過去に思いを馳せるシーンは良いですね。繋がりを匂わせるだけじゃなくて、記憶のカケラだったり懐かしかったり悲しかったり、色々だけどどれも大事な過去。羨の笑顔が可愛いんだわー。忘機の存在に救われてるとこあるんだろうなぁと思う。

宿で沢蕪君と合流。
普通に合流しちゃうので藍氏双璧の合奏が聞けないのが残念無念。裂氷と忘機琴と羨の笛の合奏とか、たとえ戦曲でも貴重すぎて尊死する。
刀霊は覇下、棺の首無し遺体は赤鋒尊。
聶氏の祭刀堂を知ってて、金氏と藍氏の剣術に詳しく、赤鋒尊とも縁がある、って言ったら「彼」しかいないけど、実行犯違うから。忘機、核心。
㬢臣兄様がこういう人だから、忘機が羨を気にかけてたときに信じて背中押してくれたんだったと思ったら、黒幕その1腹立つんだ本当に。今は兄上が過去編の忘機と同じ状況だからね。兄上の心情を一番理解できるのは忘機だろうと思う。でも「彼」は羨とは違うんだ、心の有りようが根本的に。

揉める弟子たち。
あー、んー、これは仕方ない。金凌にとってはね、親の仇みたいなもんだから。魏無羨を憎む叔父の江澄見て育ってるから。
ていうか、藍氏の弟子たちが特別に魏無羨を敵視してないだけで、世間一般的な反応としては金凌が普通なんだよね。夷陵老祖魏無羨は極悪非道。世の悪事は全てこいつのせい。
分かってるけどつらい…。


沢蕪君に正体バレました、で、次回持ち越し。
「刀霊は必然的に莫家荘に現れた」は間違ってないけどミスリードー!
このタイミングでそれ言ったら、今疑われてる「彼」が刀霊放ったみたいじゃん。赤鋒尊を殺した人と刀霊放った人は別だって推理したの自分でしょうが、しっかりしろよし。
ここら辺からジワジワと心労がかさんでいくのが羨から㬢臣に移行していきます。がんばれ兄上!